想像してみてください。将来、あなたが使うアプリやウェブサービスのAI同士が、お互いに「ねえ、この作業お願いね」と会話し合って、面倒な手続きを丸ごと自動で進めてくれる世界を。
異なるサービスのAIが共通のルールでつながり、まるでチームのように動く――その仕組みを支えるのが「Agent2Agentプロトコル」です。本記事では、その仕組みや実際の使われ方、導入したときのメリットと注意点をわかりやすくご紹介します。
A2Aプロトコルとは?Agent2Agentプロトコルの基本をわかりやすく解説
A2Aプロトコル(Agent2Agentプロトコル)って何?

A2Aプロトコルは、別々に作られたAI同士がHTTPベースのAPIを介して情報をやり取りし、協力して仕事を進める仕組みです。リモートのAIは「Agent Card」というJSON形式のファイルで自分の得意分野やエンドポイント(接続先URL)を公開し、クライアントのAIはそれを読んで必要なAPIを呼び出します。
A2Aサーバーやサーバー送信イベント(SSE)を使ってリアルタイム更新を受け取ったり、プッシュ通知で進捗を知ることもできます。これにより、各社・各サービスのAIをつなぐチームワークを実現します。
なぜAI同士の「A2A」連携が注目されているの?

従来、異なるサービスのAIを連携させるには、エンジニアが個別にプログラムを組む必要がありました。しかし、A2Aプロトコルを使えば、どのAIがどんな機能を持つかを自動で見つけて(発見)、タスクをお願いするだけで連携が始まります。
例えば、チャット相談AIが「請求書を作ってほしい」と言えば、別の請求書作成AIが自動で応答して処理してくれる――そんな「AI同士のチームワーク」が簡単に実現します。
A2Aプロトコルが生まれた背景と目的

近年、企業やサービスでAIエージェントの数が増えた一方、それぞれがバラバラに動いてしまう「サイロ化」が問題になっていました。A2Aプロトコルはこの課題を解決し、異なる会社や開発環境で作られたAIを共通の言葉でつなぐことを目的としています。
Googleが提案し、HTTPやJSONなど既存のウェブ技術を活用することで、開発コストを抑えつつ、安全で効率的なAI連携基盤を提供しています。
Agent2Agentプロトコルの仕組みをかんたんに理解しよう
エージェントカード(Agent Card)とは?

- 何を公開する?
リモートAI(受け手)は、自分ができること(スキル)や、呼び出し先のAPIエンドポイント(URL)、認証方式などをまとめたJSON形式のファイルを用意します。 - どこに置く?
通常は https://<ドメイン>/.well-known/agent.json のように、ウェブサーバーの「.well‑known」フォルダに配置。 - どう使う?
クライアントAI(送信側)は、このAgent Cardを読み込むことで「このAIは何ができるか」「どう呼び出せばいいか」が自動でわかります。
タスク(仕事)をやりとりする流れ

1.Discovery(発見):
クライアントAIが相手のドメインからAgent Cardを取得し、能力をチェック。
2.タスク送信:
JSON-RPC形式で tasks/send メソッドを呼び出し、タスク内容を送信。例:
{
"method":"tasks/send",
"params":{
"taskId":"12345",
"taskType":"請求書作成",
"parts":[{"type":"TextPart","text":"請求書データ"}]
}
}
copy
3.進捗確認:
同じくJSON-RPCの tasks/getStatus や tasks/sendSubscribe で状態を問い合わせ。
4.成果物受け取り:
完了したら parts に成果物(Artifact)が含まれたレスポンスを受信し、ファイルやデータを取得。
リアルタイム更新(SSE)と通知でスピーディに連携

- Server‑Sent Events(SSE):
tasks/sendSubscribe を使うと、サーバーから状態更新をストリーミングで受け取れます。これにより「今どこまで進んだか」をリアルタイムで把握可能。 - プッシュ通知:
Webhookを登録する tasks/pushNotification/set を呼ぶと、タスクの状態変化を登録したURLへ自動で通知。オフライン時の再起動後でも見逃しません。
実際に使われる!A2Aプロトコルの3つのユースケース
自動採用システム:候補者検索から面接調整まで

人事担当AIが「ソフトウェアエンジニアの候補者を探して」と依頼すると、A2Aプロトコルを使ってLinkedIn検索AIや社内HRデータベースAIにタスクを送信。候補者リストが返ってきたら、スケジュール調整AIに「この人の面接日程を組んで」と連携し、人間が介在する部分を減らしつつスピーディに採用プロセスを進めます。
カスタマーサポートの効率化:AIチャットbot同士の連携

お客様からの問い合わせを受けたチャットbotが、A2Aプロトコル経由でナレッジベース検索AIや請求情報確認AIにデータ取得を依頼。得られた回答を統合してユーザーに提示するため、複数のAI間での手作業呼び出しが不要になり、対応時間が大幅に短縮されます。
旅行プラン作成:複数サービスのAIがチームプレー

旅行プランAIが「来月の3泊4日のプランを作って」とユーザーに提案すると、A2Aプロトコルでフライト検索AIとホテル検索AIに同時タスクを送信。両者の成果を統合し、一つの最適プランとしてユーザーに返却します。航空券と宿泊を別々に調べる手間がなくなり、まるでAI同士が相談し合っているかのようなスムーズさです。
導入前に知りたい!A2Aプロトコルのメリットと注意点
企業・サービスが得られる3つのメリット

- 相互運用性の向上
異なる開発元のAI同士が共通のルールで接続できるため、まさに“チームワーク”のように連携が簡単になります。 - 自動化による業務効率化
タスクをAI間で自動的に分担し合うので、人手でのAPI連携や確認作業が大幅に減り、作業時間を節約できます。 - コスト削減と開発スピード向上
同じAgent CardやJSON-RPCなどの標準機能を使うため、毎回ゼロからコードを書く必要がなく、開発コストと時間を節約できます。
押さえておくべき主な注意点
- セキュリティと認証管理
APIキーやOAuthトークンなどの認証情報を正しく設定・管理しないと、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。 - エコシステム普及のハードル
A2A対応のAIやサービスが増えないと効果が限定的です。十分な数のパートナー参画が必要です。 - 実装の学習コスト
Agent Cardの作成やタスクライフサイクル管理など、仕組みを理解して正しく実装するには一定の知識と経験が求められます。
まとめ
A2Aプロトコルは、異なる開発元のAIエージェントを共通のAPIと「Agent Card」でつなぎ、タスクの自動分担やリアルタイム更新を実現する仕組みです。代表的なユースケースは採用プロセス自動化、カスタマーサポート連携、旅行プラン作成など。導入するとAPI設定や手動確認の手間が大幅に減り、業務効率化とコスト削減が期待できます。
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